【戦車】までに作り上げた自我=エゴが、【死】にて溶解する流れを見てきた。
【死】ののち、より大きな(地球的)自己が【節制】にて完成された。
次は、その地球スケールが【塔】にて破壊され、全宇宙=あの世に回帰するプロセスとなる。(と思う。)
15. The Devil 悪魔
不穏シリーズの最初となる【悪魔】は、2つのメタファーになっている。
1つが、唯物論の幻想。
そしてもう1つが、その幻想から解放されるために入っていかなければならない、「暗い水」。
暗い領域に閉じ込められている生命エネルギー。
言葉を当てはめるなら、破壊的で、アンモラルで、獣性を帯びた強い衝動。
1つ目の唯物論の幻想の方は、ここまで来た人は囚われていなさそうだけど、意外と人によるかもしれない。
たしかに、【隠者】の段階で守護霊と話したり、【運命の輪】の段階でトータルセルフを霊視したり、【正義】の段階で明晰夢をみたり…っていうのは、
人によってはそれらの気づきをすべて現実世界での体験として通過することもあるかもしれない。
そうすると、物質的な世界が全ての宇宙であると思うこともあるかも。
「無意識というものがあるらしい」と仮に頭で知っていても、決定的な何かを自ら体験していない場合は心からの理解とは異なるし。
【節制】で一度現実に戻るから、なおさら物質界が全てのような錯覚を起こしてしまうこともあるのかも。
とにかく、そんな人がいるならまず、自分が囚われていることを知るのが【悪魔】の段階。
そして、もう一つの側面の「暗い水」というやつ・・・枠の外、無意識世界への誘い。
多くの人が指摘しているように、【悪魔】と【恋人】のカードは構図がそっくり。
15という数も1+5=6で【恋人】を示す。
これは、「暗い水」に入っていくために【恋人】と同じプロセスをたどればよいですよ~という意味。またしても性欲が鍵になるという。。
断絶を飛び越えるにはそういう強い衝動が必要になるってこと。
魂が成長を求めているんだから【節制】から先に進むのは必然なんだけど・・・
大切な愛するものを引きちぎるような、食い殺すような。そういう衝動に見舞われるのはかなり焦る。愛の感覚が消えてしまう。
(この感覚は本当に怖い。これのせいで内なるパワーを幼い頃に封印したという人は案外に多いと思う。)
ここまでのプロセスをきちんと踏んでいない人がいきなり【悪魔】の「暗い水」の領域に踏み入れたらやばいわね。だから変な儀式とかクスリとかはダメなのよ。という感じ。
【節制】がオーケストラの美しく整った演奏だとするなら、【悪魔】は「表現されなかった音へのいざない」。誘惑。
次の【塔】でいよいよ制約がはずれて、音が表面にワーッと出てくる。
「制約」・・・本来【悪魔】は「暗い水」にあるエネルギーというよりも、それを制限している「枠」そのものだと思う。
枠、制約といえば、土星、サターン。【皇帝】のところで書いた話。
囚われるっていうと聞こえが悪いけど、要するに守ってくれている。
(同じことをわかりやすく書いている人がいた↓)
15は1+5=6というだけでなく、より高次元の5【教皇】と考えるのも面白い。
絵柄も左右反転だしね。
【教皇】は聖人たちが綴った霊的な道のガイドブックだと書いたけど、
【悪魔】は新たな未知の世界「暗い水」へ案内するガイドブックとも言えそう。
16. The Tower 塔
【悪魔】で仄めかされていたエネルギーが噴出する。
ダムが決壊する。洪水が起きる。「表現されなかった音」のカオス。
これを「神の啓示」という人もいる。おそらく発狂する人もいる。
意識と無意識を隔てていた壁が崩壊して、区別がなくなる。それが【塔】の段階。
【吊るされた男】のような穏やかさはなく、ひとつになったと思ったらその先が無尽蔵に入り込んでくるようなイメージ。。
個人的には【塔】とその次の【星】への流れは速いような気がする。
というか、洪水が起きた瞬間が【塔】で、洪水後の水の中での体験が【星】というイメージと思う。
17. The Star 星
ポラックさんは「無意識がもたらすイメージではなく、無意識そのものを直接体験することになる」と言っている。
まさにこれ。
これまでは意識と無意識の間に境界があった。
【女教皇】ではヴェールの向こう側に水が見えていたし、【運命の輪】でも車輪はいわゆる"インナーヴィジョン"としてデフォルメした形で出現していた。
向こうから「引き出してくる」「読み取ってくる」ものでしかなかった。
しかしもはやそんな区別はなく。
意識は全宇宙の中に投げ出され・・・
源流との再会、統合。
そこから再び生まれる元型(アーキタイプ)としての表現。
この二つを、【星】のカードの二つの聖杯が表しているらしい。一つは源流である川の水の中へ、もう一つは地の上に流れる。
これが「同時」に起きているということが大事なポイント!
ここにはもう時の流れが存在しない。恒星意識。(だから【星】!)
創造して受け入れる、1→2という流れがなくて、完全に同時に起きている。
恒星である自分がいて、同時に地上にいる自分が(たくさん)いる。
恒星から地上の自分が生み出されるわけではない。
地上にいる自分は恒星を描写し続けている。
↑の「源流」というのはインスピレーションの泉で、8【力】で始まったアーティストとしての道は17の【星】にてある意味ゴールを迎えると言える。
オーケストラもなにもない、すべての「音」が目の前に広がっている状態。
あらゆるメロディーの元型がある。
こちら、【塔】から【星】の体験がきれいに表現されているなあと感じる曲。
Out here...I've been deceived
I see my life more than just a sequence of moments
時の流れが幻想だったことに気が付くという描写。
Eternity is only
I can't see an end to this と、永遠性の表現が続く。
Existential crisis 実存的危機という言葉も出てくる。
I'm on the other side now. And I see no difference. I can't make sense of it.
「私は今あちら側(あの世)にいる。何の違いも見いだせない。意味がわからない。」
18. The Moon 月
不穏シリーズの最後。
どうして【月】が「不安」「恐怖」という意味を持つのかという、「月」というシンボルに関する考察はここではスキップ。
【月】のカードでは【星】における無意識世界から地上世界に戻ってくるプロセスが描かれている。
【星】が羊水だとするなら【月】は産道のような感じ。
【月】に描かれている二本の柱は、【女教皇】に描かれた二本の柱を「あちらの世界」から見たもの。
【月】では、無意識の水の中から「こちらの世界」でも理解可能な形での「何か」が出てくる。
「こちらの世界」に認識をもたらすためには「形」をまとう必要がある。
これがヴィジョンというもの。
ただの至高感覚だった【星】に対して、何かが見え始める。モーエンさん流に言うなら「解釈者」が機能し始める。
しかしこれまで保護してくれていた枠や境界は【塔】で崩れ去っていて存在しない…!!
そうすると何が起きるか?
あらゆる恐怖がむきだしで現れる!!!
根源的な恐怖、獣性、狂気。一切の猶予なく押し寄せてくる…!!!
音楽の比喩を続けるなら、【星】であらゆるメロディー元型が眼前に広がっていたのを「こちらの世界」に持って帰ることになるときに、一部だけが表現されることで不吉な感じになる、ということ。
これまであった「パターン」がないので、「器」がない。そのままを持ち帰ることができない。
そもそも聴き慣れない音というのは怖い。予測ができないのは怖いというのは、【皇帝】のところで再三書いた通り。
こういう恐怖は抗うほどに強まる。
ポラックさんも「純然たる勇気で受け入れれば安らぎがもたらされる」と書いている。
恐怖というのはフォーカスすればするほど増える。
逆に言えば、愛というのもフォーカスすればするほど増える。
そして多くの人が言う通り、愛と恐怖は共存できない。
受け入れる=許す=愛で【月】を乗り越える・・・!(とてもつらいと思う)
18は1+8=9で【隠者】が示唆される。これをポラックさんは、その場にいなくてもガイド的な存在がちゃんとバックアップしてくれていることと結び付けている。
たしかにブログ「ようはなんでもいい」のアヤワスカ体験談でも、恐怖と奮闘している間、シャーマンが援護してくれると書いてあった。
わかったように書いているけど、私の場合はまだそこまで根源的な強い恐怖を感じたことがないので、まだ【塔】を経ていないと思う・・・そもそも「怖いな~」と思ってるしなあ(笑)
19. The Sun 太陽
【星】で恒星意識と書いたけど、【太陽】もまた恒星意識。
どちらも「永遠」の意識。
あらゆる銀河系を含む源流の中に身を置くのが【星】なので、そこから改めてこの太陽系を選んで戻ってくるのが【月】→【太陽】のプロセスだと言える。
【太陽】のカードに描かれている子供のように、この世界に生まれ直す。
羊水から産道を通って「この世」に再び顕現する。ててーん!!
【節制】もこの世界で改めて生きるよろこびを表していたけど、【太陽】では【節制】以上に「生きていることの"すべて"がよろこびに満ちている」印象になる。これは【月】で恐怖を受け入れたからこそ!
愛と恐怖が共存しないわけは、より大きな愛が自らを分割したとき、愛と恐怖に分かれたから。陰陽。
男性性と女性性を統合するとより完成された女性性になる、というのと同じ理屈で、
恐怖と愛を統合するとより完成された愛になる。
つまり、より完成された愛に至るためには、道筋として「恐怖そのもの」を通らないといけなかった。それが【月】だった。
【太陽】の無条件の愛は、実に無条件なので、すべてが楽しくてうれしい。
「〇〇さえあれば幸せになれるのに」という発想がない。
「〇〇を分かってくれる人がいたら孤独じゃなくなるのに」「〇〇の資格があれば自立できる」これらも全部、ない。
また、恒星意識には時間が存在しない。
それは「起こることをすべて知っている」という状態。
全惑星意識は時とともに12サインを周回する惑星であることには変わりなく、経験によって成長する。
一方の恒星は、最初から最後まで収録されたテープそれ自体、みたいな感じ。
時の流れの中に身を置くにしても、自分自身がそういう存在(最初も最後もない、一つの完全な作品)であると知っている。
宇宙が私を愛してくれていると知っている。「信じている」を越えて「知っている」、本当の「確信」。
音楽の比喩を続けると、【月】で出てきた不吉なメロディー群が上手に再編成されて、【太陽】でひとつの曲として完成されるという感じ。
【節制】がオーケストラの指揮者ならば、【太陽】は作曲者のイメージ。
20. Judgement 審判
【審判】は「大いなる存在からの呼びかけ」・・・だそう。
ポラックさんによると「虚無の水のなかへ最後の降下を行う」とある。真の自己に至るために。
恒星意識の上は宇宙意識だから、そこに至る最後の2枚という感じ。。
ここまでくると私には体験としての理解がなさすぎるので【審判】については語れない。。
強いて言えば。
【太陽】は無条件の愛の体現者なので、それは逆に言えば何をしても良いということになる。そこには「宇宙に愛を増やす」という概念がない。
なので次の段階である【審判】ではおそらく・・・神の意志の体現のため、個々の使命や役割を思い出すことなんじゃないかな?と思っている。
使命っていう言葉はエゴを強調するから嫌だけどね。ほかに言葉が思いつかない。
「あの世」にいったのにわざわざ太陽系を選んで戻ってくるわけなので、器に乗って何かをしたいんだよねっていう。
カードを見るとRemind とか Call to mind という言葉が浮かぶからそんな感じかな~と。
20というのは10のさらに上の次元。
0【愚者】はプレイヤー意識であり、10【運命の輪】は過去世などを含めた自己(トータルセルフ)だった。
どちらもスピリチュアル用語では「ハイヤーセルフ」といわれるもの。
そこから考えれば「大いなる存在からの呼びかけ」は「ハイヤーセルフからの呼びかけ」と言い換えられそう。
このゲームをやり始めた理由や目的を思い出す、ということかなあ。
21. The World 世界
とうとうフィナーレ、宇宙意識の完成。
【世界】も私自身がまだそこに到達していないのでたいして書けないのだけど、12の【吊るされた男】と対比して考えることはできる。
どちらも「意識と世界は同じものである」という恍惚の中にいる両性具有者。
違いは【吊るされた男】が静的であり、【世界】は動的なダンサーであるところ。
「意識と世界は同じ」というのを「動きながら」体現する存在、
明晰でよろこびに満ち=【太陽】、
加えてエクスタシスの中に生きるというもの。
【吊るされた男】も「自分はどこにでもある」という感覚だったけど、【世界】も「どこにでもある意識、それが自分」という感じだと思う。
I AM THAT I AM というやつ。
私は私がなったものになる。
こうなると、超能力なんてお手の物になりそう。腕を曲げるのと同じような気分でスプーンも曲げられるし、海の上も歩ける。石はパンになる。
――――
結局のところ、すべての人はSSRな自己、宇宙意識を持っている。
そこに自分の意識を持って行けるかどうか、というか、「そこに自分があると知る」かどうか、というだけの違い。
肉体が借り物であるように、エーテルもアストラルも、ある時期の特定の目的に合わせた器でしかない。
この器を通すから限局されるだけで、常に私は肉体もアストラルも超えているんだ。(アストラルを越えたら個はなくなるので「私」という主語はおかしいけど。)
神様は今、「この、アルケスっていうペンネームでブログを書いている人間の女」になってみている。。。なんてね☆(しまらないんだよなあ^^;)
終