アルケスの雨

あなたは愛するすべてとなってわたしをよろこばせる

大アルカナに示された霊spiritへの道(2)

 

【愚者】【魔術師】【女教皇】【女帝】まで書いたので、次は【皇帝】。

前回記事はこちら

alkes.hatenablog.com

 

【皇帝】は書くことがいっぱいある・・・この記事は【皇帝】だけで終わりそう。

 

4. The Emperor 皇帝

まず、【女帝】で生まれた混沌を封じる、「理」としての性質。

4という数字が安定を意味するのは有名な話。

キーワードをあげつらうなら、合理性、システム、法、枠組み、支配。

12感覚の話で言えば、4番目は蟹座で、聴覚。

「調がかわっても同じメロディーなら同じメロディーだと認識できるよね」というのを松村さんはよく例に出している。

ふたご座の言語化により散り散りになっていく概念を類型化するのが蟹座の役割。

個人が寄り集まって家族、村を形成する。その共同体が一つの単位になるみたいなこと。

グループ化というのは一種のパターン化だし、ルール化。

紅とかワインレッドとかローズとかをまとめて「これらは赤です」と決める。線引きする。

 

レイチェル・ポラックの『タロットの書』によると、【皇帝】の椅子の四隅には羊が描かれていて、王冠の上にも牡羊座のマークがあるという。

たしかに牡羊座は【魔術師】にも対応する男性原理だ。

「これが・・・俺だッーー!」

ってこの世界に自分をぶち込むというやつ。(??)

 

牡羊座の支配星は火星で、シンボルは♂のマーク。

(【女教皇】の牡牛座の支配星は金星、♀のマーク。)

そんなところからもわかるように、【皇帝】こそ男性性の象徴ともいえる。

【魔術師】はもっと純粋だった。【皇帝】は【女帝】で誕生した物質界において顕現した、この世での最初の男性性。

 

そこまでで説明を終わることもできる。

だけどあえて・・・山羊との対応も指摘しておきたいなと思う。ていうか、【皇帝】の椅子に描かれているのは羊じゃなくて山羊なんじゃないの?って思ってしまう、勝手に(笑)

山羊座の支配星は土星だ。

占星術の常識として、土星があらわすのは「枠組み」。

技術が発達する以前、目視できる天体は土星までだった。土星までしか存在しない占星術が長いこと続いてきた。これはある意味、「物質界は土星に始まり土星に終わる」という意味でもある。

土星「箱」であり、「パターン」だ。混沌とした宇宙を、認識できる「箱」に入れる。繰り返す「パターン」としてとらえる。

そういう意味では、【女帝】以上に物質界そのものを表すともいえる。

(【女帝】は物質界以外の世界、全宇宙をも含むわけだから。)

私が机の上にペットボトルを置いたら、誰かが何かをしない限り、明日の朝もそこにペットボトルがある。それがこの物質界の常識ということになっている。

夢の世界、無意識の世界ではそれは常識ではない。次の瞬間にはペットボトルは生き物になるかもしれない。

でもとりあえず物質界では、ペットボトルがいきなり犬になると困る。生きていけない(笑)

ペットボトルはペットボトル。それがここでのルール。「法」。

ルールがあると、支配ができるようになる。つまり、明日の朝もそこにペットボトルがあるなら、明日のために今日ペットボトルに水を汲んでおこう、とか考えることができるようになる。

春の次に夏が来る。だから今この作物を植えておこう、とか。

ルール=パターンがあれば、予測ができる。予測ができれば、ある程度結果を支配できるのである。

人類は支配の歴史とかいうけど、ネガティブな意味以前に、生きるために「支配」するのは当たり前のことだ。

このことに関しては、爬虫類脳やレプティリアンとの関連も指摘できる。 

つまり、蛇が人類に知性を与えたというのは、土星的なものの見方を与えたともいえる。

 

土星がサターンと呼ばれることとサタン(悪魔)の語源は違うと主張する人が多いけど、やっぱり意味的にもサタンなんじゃないかなと思う。

悪魔論まで広げると到底ひとつの記事ではおさまらないのでやめよう。。

 

支配は恐怖とも明確な関連を持つ。(爬虫類脳は恐怖と生存本能を司る。)

ペットボトルがいきなり犬になるのは、恐い。次に何が起きるのか、目の前のものが「何」なのかがわからないのは怖いのだ。

だから予測したいし、支配したい。支配欲というのは結局のところ、安心したいという一語に尽きる。

昔からよくあるドラマのシナリオで、女心がわからない男が女を束縛するというのがあるけど、これは【女帝】と【皇帝】を端的に表している。

宇宙そのもの、情動のままに移ろいゆく女は、男にとって神秘であると同時に、恐怖の源だ。

だから自分のところから離れないようにいろいろ策を練る(笑)

 

この構図はなにも男女に限らず、大自然と人類というのも同じだ。

人類は自然の中で生かされる。だけどむきだしの自然というのは、何をしてくるかわからない。だから人類は自然をパターン化して習得し、支配する。

人類をManというのをフェミニストは怒るのかもしれないが、そりゃそうでしょ、と思う。自然と対比したときの人類は男性性原理なのだ。自然に対して介入、干渉する存在なのだから。

そうして支配した結果、枠組みが生まれる。

簡単に言えば、雨風をしのぐための家が建つ。

恐怖から身を守るシェルター。

これがなかったら人間は生きられない。

占星術における土星は試練を与えてくるとか苦手意識を象徴するとかいうけど、それ以前に土星というのは圧倒的安心を与えてくれる枠組みだ。

みんなそれを認識してなくて、サターンリターンのようにそれがぐらついたときにだけ土星意識する。だから「凶星」と歪んだ見方をされる。

 

あるいは、まさに【皇帝】に象徴されるように、いわゆる厳格な父親像というのもある。土星が怖い人というのは、父親が怖いと言っているのと同じだと思う。

実際、古い占星術では土星は父親を象徴する。

(ちなみに古い占星術で母親にあたるのは月だ。月がカードに描かれているのは【女教皇】だ。たしかに昔の家庭における母親像というのは奔放な【女帝】というよりも受け身な【女教皇】の方がしっくりくる。。)

土星も「父親」も、ルールを適用して裁いてくる存在なのだ。もちろん悪気はない。それがあまりにも勝手なルールだったりすると苦労するけど。

 

ここで、安心というのは制約、制限、責任がないと生まれないということに気づく。

「すごく広い公園で自由に遊ぶ」ということをイメージしたらわかりやすい。

管理された区域というのは、何かあったときには誰かが駆けつけてくれる。少なくとも大自然の中と違って、何日も放置されることはない。これは安心だ。

誰かが「責任」をもって管理してくれているということ。

山羊座土星のキーワードに「責任」があるのもそういうことだ。

しかし、結局管理というのは支配であり、そこのルールがある。

どんなに広くてもそれは「大きな鳥かご」で、本当の自由ではない。

すごく優しい父親だとしても、やっぱり許してもらえることには限度がある。

その限度に触れたとき、自分が籠の中にいることに気が付くのだ。

公園の柵まで来てしまうと、公園の中にいることにフラストレーションを覚えるということ。

逆に言えば、本当の自由は常に死の恐怖と隣り合わせ。

さっきから何度も言っているように、恐怖と支配というのは裏表の関係にある。制約と安心も裏表だ。

 

そういうわけで、この土星の性質と【皇帝】が象徴する意味がほとんど同じだなと。

【皇帝】は大きな鳥かごの中で、ひな鳥が安全に生育するように守る。

生まれたばかりの赤ちゃんである【女帝】は、まず【皇帝】という社会システムの中で育まれるということ。

そこで子供は【女帝】らしいありのままの情動ではなく、「合理的」であることを求められる。

「合理的」というのは【皇帝】の持つ独自ルールなので、宇宙から来た魂的には納得できないかもしれない。宇宙的にはペットボトルがいきなり犬になることが普通だからだ。

だけどここでは、ペットボトルがいきなり犬になると言えば怒られてしまう。

(怒る人は無意識で恐怖を感じるから怒る。ちなみに、怒りと恐怖も関連している。爬虫類脳は怒りを司ることでも有名。)

子供は家というフィールドがないと生きていけない。守ってもらうことは、支配されること。支配に甘んじなければいけないのだ。

成長して大人になっても、これは基本的に変わらない。「家」が「社会」に置き換わるだけ。

土星は父親であり家であり社会だ。

完全な野生の中でたった一人で(文明の産物を使わずに)生きていける人というのはおそらくいない。

有史以来、人のいるところには必ず村、共同体ができた。人間は一人では生きられないから。そうじゃなければ誰が好き好んで面倒くさいご近所づきあいをするのか?(笑)全員がパリピなわけじゃないんだからさ。

 

社会の「構成員」としての自覚、

地球で生きるために、生かしてもらうために、自分はそこで何を提供できるか?

そういうことが土星、ひいては【皇帝】の持っているテーマかなと思う。

 

この間『ユートピア』という陰謀論系の海外ドラマを見たけど、その中で黒幕が

「居場所を確保するために今日は何をした?」

というセリフを何度も言っていた。

陰謀論系ということでついでに言うけど、やっぱりレプティリアン的発想なんだよね(笑)生存本能というか。

これを悪魔だ!人類の敵だ!といって否定するのは違うなと思う。

(否定している側も結局生存本能で動いていて、缶詰を大量に買い込んで地下壕を作るプレッパーというね・・・なかなか面白いドラマだった~。)

ただ条件反射的に否定するんじゃなくて。彼らに何が足りてないのか?黒幕のどこに違和感があるのか?考えたい。

土星しか星がないわけじゃないんだからさ。土星の外側にはトランスサタニアン(天王星海王星冥王星)がある。トランスサタニアンはシェルターに傷をつける役割を持つ。これを自己の一部として受け入れることがまず大事だと、個人的には思っている。

 

あと、既存の枠組みで説明がつかない現象に出会ったとき、【皇帝】的な人は受け入れないよね。

マンデラエフェクトとか、コロロワワワンの中身のこととか(笑)

「そんなことがあるわけない」で思考停止してしまう。

既存の枠組みの中で納得しようと奔走したりする。

説明がつかなくても現象それ自体を認められる人というのは、トランスサタニアン的なエネルギーをちゃんと受け入れる器があって良いなと思う。土星がそれだけでかい「器」として機能しているとも言える。

 

私は幼いころ『ロビンソン・クルーソー』が大好きだった。その理由は一人で土星を演じられるのがかっこいいなというところにあった。

できればそうやって自分自身が土星になりたいところだけど、短期間ならともかく一生それは無理だろう。クルーソーも無理だったし。

社会という大きな有機体の、エネルギーの流れに自分をぶち込まないとね。

ああ、そうか。自分をぶち込む自我感覚という意味では、【皇帝】はやっぱり牡羊座との関連も強そうだな。

 

やっぱり長くなった・・・本当はまだ書けるけど(笑)一応おわり

 

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